「悪」としてのアイコン化

映画の悪役には、結構ナチスが使われることが多い。僕が思い出すだけでも、インディ・ジョーンズシリーズとか、イングロリアス・バスターズ、シンドラーのリスト、帰ってきたヒトラーetc…数え始めるとキリがないぐらいだ。

悪役としても、まわりから文句を言われることがないのと、存在した悪として、非常にわかりやすいからだろう。で、今日の結論は、ひょっとしたらプーチンのロシアは今後、ナチスと並ぶ悪役になるのかもしれないなぁということ。

なんでこんなことを思っていたかというと。多分、今回の戦争が予想されていたような近代的で、クリーンな戦争ではなかったからかもしれない。というか、ものすごく古臭い戦争のように感じているからだと思う。

流れてくる映像を見る限り、この戦争の古臭さは、ある意味で予想を超えていた。ドローン兵器とか、無人爆撃機とか、そういうのを中東の紛争で観ていたから、大国の戦争は、極めて近代的でクリーンな戦争だと予想していたけれど全く違った。相変わらず戦車に乗って国境を超えてきて、人間が対戦車ミサイルとかを打って、民衆がモロトフカクテルをせっせと作っているのだから、前世紀の戦争にしか思えない。戦車の性能が上がって、対戦車ライフルや、対戦車砲がミサイルに変わっただけだ。

国家元首が、メディアを通じて歪な歴史や国家観を宣伝するのも、WW2とよく似ている。「アーリア人は優れている」と言っていたのが、「ウクライナはソビエトが作った国」に変わっただけだ。どちらも根拠がなく、自国民の歪んだ愛国心を満たすだけの意見でしかない。そもそも1932年からソビエトがウクライナに対して行った、計画的な大飢饉、ジェノサイドがどれほど苛烈だったかを知っていたら、そんなことは口に出せないはずだ。どのくらいウクライナ人がソビエトのことをよく思っていないかは、その後にウクライナにやってきたヒトラーのドイツ軍を解放軍として歓迎したということからもわかる。(その後ドイツにも酷い目に遭わされるのはご存知の通り。)

ソ連の崩壊、マイダン革命、クリミア併合などという背景を知れば、ウクライナの人が必死で抵抗している理由がわかる。彼らはウクライナという民族とか文化が消滅させないように、必死に抵抗しているのだ。民族自決の原則とか、歴史の授業で習う理念だけれど、残念なことに人類はまだ獲得できないでいるらしい。

北米大陸には、19世紀後半からウクライナ移民を受け入れており、100万人近くのウクライナ系の人たちがいるとされる。映画産業の中にもたくさんいる。そういう人たちは、この先ロシア人を悪く言わなくても、ロシアのことは、そういう国だと認識して、そういう映画を作るだろう。こういうのは止めようがない。ナチスを描こうとすれば、基本的に歴史物にならざるを得ないけれど、ロシアであれば時代設定はもう少し自由度が増える。しかもやっていることは19世紀並みに古臭いから、ひょっとしたら悪役はロシア人と設定するだけで、深い説明も必要なくなるかもしれない。

ナチスと違うのは、すでに解体されている上でボロクソに描写されるのに対して、ロシアは、国家が残っているのにボロクソに描写されるんだろうなってことかな。まぁ日本も大陸の方では日本鬼子として描かれているから、個人が気にしてもどうしようもないんだけれどね


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