具体的かつ曖昧な数字

菅直人首相が中部電力の浜岡原発を停止させます。その根拠が「今後30年の間に、大地震が発生する確率は87%」だからだそうです。

この発言の本当の意味は「歴史的記録から推し量ってみると、東海沖から紀伊半島沖の海底で周期的に地震が起こってきたように思えるので、多分もうちょっとしたら大きな地震が起こるんじゃないかな」というぐらいの意味です。それを「今後30年」とか「87%」といったような「具体的かつ曖昧」な数字を出してしまうからパニックになってしまうわけです。

それで、この「具体的かつ曖昧」な数字というのが今回のテーマです。

文字通りの意味で「今後30年間で87%の確率」で地震が起こるというなら「幸いにも今年はもう地震が発生しなくて、なおかつ来年から30年間に地震が起こる確率」はもっと高くならなければならないはずです。なぜなら発生するといわれているのは活断層型ではなくプレート型の地震ですから「時間の経過=プレートのひずみ量の増大」であり、プレートがひずみを吸収出来なくなったその時、地震が発生すると考えられているからです。ではいつか限りなく100%に近い値になるのでしょうか?もちろん違いますよね。

科学っぽい言い回しで「今後30年間で87%」という言葉の意味を述べると「発生確率というものを定義し、ある「仮定」を基に計算をした結果が「87%」でした」という程度のことでしかありません。でもこれは一般的な人が思い浮かべるイメージとはすこしかけ離れているような気がします。

現実的な事を言えば、根拠を無視して仮定を設定できるなら、どんな数字だって作り出す事はできます。つまり具体的な数字を出すときは、計算の元になった仮定や根拠と一緒に出さないと意味が無いのです。

しかし今回、国の代表者が「前提条件」も述べずにただ数字だけを発表してしまって、マスコミも前提条件や根拠に対して突っ込まないということが起こった結果、「今後30年で87%」という数字だけが一人歩きしてしまったあげくに、発電所が停止してしまいました。

同じような例として、福島第一原子力発電所から漏れてくる放射線の値も最初は「○○シーベルト」って言ってたのが、最近は「○○ベクレル」と変わっています。(ちなみにチェルノブイリ事故の時代は「○○レントゲン」と線量を発表していました。これは単位系が新しくなったからです。)「シーベルト」と「ベクレル」、単位が違えば表す意味も当然違うわけです。でも実際のところ数値の大小だけではなく、しっかりとしたイメージを持って数値の意味を確認している人は少ないのではないでしょうか。

残念なことに、地震予測はいまだに不確定な技術なのです。
兵庫県南部地震も福岡県西方沖地震も新潟中越沖地震も、そして今回の東北地方太平洋沖地震も、事前に発生確率なんて聞いた事なかったのでないでしょうか。いままで地震発生確率なんて口にしなかったのに、いきなり「87%」なんて言い出すモノだから困ってしまうわけです。

「地震はおそらく来るでしょう。」
「想定している場所で、想定しているメカニズムで発生したと考えた時、
 おそらく現在発表している程度の規模になるでしょう。」
「でも実際の発生時期も規模もわからないよ」

本当はこう言ってるだけなんです。残念なことなんですけどね……

ということで、僕たち一般人が出来る事といったら、いつ地震が来てもいいような心構えと逃げる準備をしておくぐらいなんです。防災グッズを揃えたり、避難場所を確認しておくなんてことまで出来たら、なお良いでしょうね。

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