‘家とお金の話’ カテゴリーのアーカイブ

お金のある場所

2010年8月27日 金曜日

30年も支払い続けなくてはならない長期ローンは組んだらダメですよ、という話をずっとしている訳ですが、そんな事をいってもお金がないからローンを組むわけです。

家は欲しい。そしてお金はない。

そんなあなたにお金のたくさん眠っている所をひとつご紹介します。全ての人がこの方法を使える訳ではないのですが、ひとつの回答として考えてみてください。

2006年3月に内閣府/野村総研総合研究所が発表した【高齢者の金融資産の有効活用及び社会的責任投資等への資金流入の可能性に関する調査】という資料があります。その中に【年代階層別金融資産保有総額】という項目があるのですが、このグラフを見ると面白いことが分かります。

日本人の個人が持ってる金融資産の総額は約1500兆円と言われています。この資料では1400兆円を少し超えるぐらいでしょうか。最近の金融不安で少し減少しているでしょうが、日本人は投資より貯蓄する傾向があるので、それほど経済の波に大きく左右はされてはいないと思います。 そしてこの棒グラフをすこし見やすくして、持っている金融資産の量を円グラフにしてみますとこうなります。

調査段階で55歳以上、つまり現在60歳以上の人が持っている金融資産は、全体の68%程度ということが分かります。 55歳以上の年代が、ローンの支払い終えたり、子供の自立や退職金の支給等によって資産が大きくなっている面はありますが、主に住宅を購入したいと望む25歳~44歳の年代は15%程度しか持っておらず、一番お金のかかる買い物をしなくてはならない年代が、あまり資産を持っていない事は分かると思います。

ここまでくれば、頭金をどこから調達するかはもう分かりますよね。

可能であるならば、たくさん資産を持っている方に援助をお願いするほうが、金融機関の利益にしかならない金利をたくさん払うよりもいいような気がしませんか?

ローン返済額 ≠ 家賃

2010年8月20日 金曜日

新聞報道によると、金融機関等が強制的に売る為に裁判所の競売にかけられた一戸建て住宅とマンションは、2009年度には前年の1.3倍の約6万戸になったそうです。 高いお金を払って住宅をせっかく購入したのに、なんらかの理由で手放さざるを得なかった人が増えてきているようです。

前年(2008年)の9月にリーマンショックがあり、そのまま金融危機になだれ込んだので、2009年になってからもボーナスが無くなったり給料が下がったりして支払いが出来なくなった人が多かったのでしょう。 それにしても記事中の「52歳、消費者金融に200万円の借金あり」の人物が、どうして頭金なしで70代半ばまで毎月10万円あまり返済し続ける住宅ローンの審査に通ってしまうのか?そちらのほうが怖いです。

最近は70歳代になっても、ローンの支払いが出来るほどの収入がある職に就けるのでしょうか? 70歳ともなれば、通常は年金暮らしと考えるべきですよね。自分の年金がいくら貰えるか、年金定期便を見れば分かるでしょうに、なんでこんなローンを組もうと考えたのでしょうか?というか金融機関はどうやって70歳代の人から回収しようと考えたんでしょうか?僕には全く分かりません。

住宅ローンを販売する金融機関にすれば、長期の融資で、かつ投資目的ではなく自宅としての案件ならば、回収不能となるリスクはかなり低いと考えられますし、債務者に家族がいればリスクはさらに下がると考えられるので、家族持ちで自宅購入者の長期住宅ローンは美味しい金融商品なのかもしれません。万が一、債務者が亡くなっても生命保険をかけていますし、最悪住宅を差し押さえて売り飛ばせば回収がゼロなんて事もありませんからね。

でも金融機関が勧めてくるからといって、それを額面通りに受け取ってローンを組んでしまう人にも問題があるのです。「現在お住まいの賃貸住宅の家賃と同額程度の返済額で、夢の一戸建てが手に入ります」なんて宣伝してきますが、よく考えてください。 賃貸なら家賃が払えなくなれば、もっと安いところに引っ越せばいいだけですが、持ち家の場合そうはいきません。

手放したくても、買い手が現れないかぎり売れない。しかも住宅の価値は下がる一方ですから、高値で売却できたとしても大概ローンの完済は不可能。破格の好条件で売却出来ない限りは、住んでもいない家のローンと、現実に住んでる住宅の家賃の2つを払い続けることになる訳です。

当たり前の事ですが、金融機関だって営利企業です。社会の変動が多少あっても、金融機関が個人相手に損をかぶるようなことなんてほとんどないと考えておくべきです。だからこそ、損をしない為にもお金の事はちゃんと考えるべきなんです。ローンを組まなくてはならない時は、返済計画をたてて、借入期間を最小限にする努力はするべきでしょう。

実際のところ、ほとんどの人は「お金もあまりない。でも長期のローンは組みたくない。」というのが現状だと思うのですが、返済期間を短くする方法は頭金をたくさん持つ以外はありません。

貯金が出来るまで家は買わない。単純ですけど、これが正解なのです。

持ち家 ≠ 必需品

2010年8月15日 日曜日

この国で暮らしていくには「定住する居場所(住所)」は非常に大事です。住所を失うという事は、行政サービスを失う事だからです。 ネットカフェで寝る場所は確保出来ますが、住所不定では就職する事もままなりません。住所を失う事は、生き方をかなり制限されてしまう危険な事態です。

ですが「住む場所」は必要でも「持ち家」は必ずしも必要ではありません。

分譲マンションや建売住宅、注文住宅のような「居場所」は非常に高くつきます。よほどのお金持ちではない限り、長期ローンを組まないと手に入りません。 家を買うことになったら金融機関は当たり前のように返済期間が数十年に及ぶ金融商品を勧めてきますが、これは個人が生きていく上ではかなり負担を強いる商品です。むしろかなり特異な商品と考えたほうがいいです。

ちなみに30年前を思い出せますか?

1980年。 僕はまだ小学生になったばかりで、世界は自分の廻りだけで完結してました。

新幹線はまだ東京~博多間しか開通していませんでしたし、走っているのは「ひかり号」と「こだま号」だけでした。電電公社がまだ存在していましたし、JALは半官半民で経営されていました。任天堂はまだファミコンではなくゲーム&ウオッチの販売を開始したばかり。初代ナメ猫ブームとかルービックキューブが流行っていたその年に、家を30年ローンで買った人達が、今年支払いを終えます。

ローンを組んだ時に「バブル経済」とか「失われた10年」とかの経済的な浮き沈みがくる事を予想した人はいないでしょう。経済学者がいくら仮説を立てて未来を予想しても、その通りになる事なんてありませんし、どう考えても未来は予測出来ないのです。

未来を予測出来ないのに、なぜ長期ローンを組めたのか?

これはもう「時代の空気」ですよね。「結婚していい歳になったら家を買う」という空気。「日本経済はこの先も右肩上がりの成長をするであろう」という空気。「今の給料は少ないけど、このまま会社にいればいずれ高収入が約束されている」という空気。「会社が潰れることはない」という空気。

昔から「相場で失敗した」とか「会社が倒産した」なんて事はあったはずなのに、「そういうことは自分自身には降り掛かってこない」という根拠の無い自信が世間に満ち満ちていた訳です。だから長期ローンを組めたし、金融機関もお勧めしていたのです。

今は違います。僕は就職氷河期の人間ですから、知り合い正社員の道から外れて生きている人達がたくさんいます。そんな人達には「家を買う」なんて選択肢はほとんどありません。なぜならローンが組めないから。 でもこの世の中に、長期ローンを組まないと手に入らない生活必需品なんてあるんでしょうか?そういう商品があったとして、それを生活必需品と呼んでいいのでしょうか?

僕は違うと思うんですよね。

大きなお金は、それだけで判断を間違わせるという話

2010年7月29日 木曜日

建築をやっていると、個人が把握出来る金額には限界があるような気がします。

個人差もありますが、だいたい100万円を超えたあたりから、判断がすこしずつおかしくなっていって、1千万円を超えると手に負えなくなる人が多い気がしています。ふつうに考えると、生活の中で1千万円なんてしょっちゅう扱うお金じゃないですから、ある意味どうしようもない問題だと思いますが、今回はそこいらあたりを気をつけて、ちゃんとお金の事を考えてくださいという話です。

建築にかかるお金は、普通の住宅では3千万円程度、ビルで数億円というところでしょうか。一般的に家に次ぐ高額商品と思われる車が、数百万円程度の金額(超高級車を除く)ですから、建物を購入するという事は、文字通り「桁が違う」お金を動かすことになります。

また会社で億単位のお金を動かしている人でも、いざ自分のお金を億単位で動かす時、会社のお金を動かす時と同じように冷静な決断が出来るかというと、そういう訳でもなかったような気がしています。たぶん自分のお金を動かす時は、それなりの緊張感が存在するという事なんだろうと思われます。

つまり一般的に言えば、個人的に建物を手に入れるという事は、長い人生の中でも「非日常的な金額」を動かすことになる数少ない事態だという事になると思います。ところが「非日常的な金額」というものは、ときどき人の判断を間違わせ、混乱させてしまいます。例えば、こういう問題があります。

「現在、手元にある100万円と、1年後の100万円。どちらが価値がありますか?」

もちろん答えは「現在、手元にある100万円」です。どこかの銀行に預けておけば、いまでも0.03%位の利子がついてきますので、当然1年後には100万円以上になっている事は分かりますよね。では次

「年利15%で100万円を借りて、リボルビング払いで月々1万円づつ返済した場合、完済するのに何年かかりますか?」

これもよくある問題ですが、答えは「一生かかっても完済出来ない」です。この問題のミソは毎月1万円、年間12万円を返済していけば、9年後には100万円+αを返し終わっているにもかかわらず、返済金額と利息の関係をとらえ間違うと、一生返し続けるはめになるということでしょうか。 最後に住宅ローンに関する問題をひとつ

「家を買うのに35年ローンを組んだが、がんばって働いて25年で完済しました。この場合、得をしたと考えられるべきなのでしょうか?」

こういうのもよくある話ですが、短期間でお金を返したことに対するがんばりは認められても、あまり得をしたとはいえないと思います。ちなみに1000万円を年利3%で5年間借りた場合、利息は150万円以上ついてしまいます。10年間借りたなら300万円以上です。返済期間を長く設定するということは、それだけ余分に利息を支払わなくてはならないという事は誰でも知っているはずなんですけど、いろんな事が頭をよぎって、実際の返済能力から考えられる返済期間より長い期間を設定してしまうという話です。

この問題の場合、ローンを組む時に返済計画をしっかり練っていれば、返済期間を35年ではなくて、30年〜25年に出来たかもしれません。そうすれば結構な額のお金を支払いにまわさずにすんだはずです。もちろん途中で借り替えをする事も出来たはずです。利息というのは不動産価値にはいっさい含まれないことをちゃんと理解しておくべきでしょう。

このように扱う金額が大きくなると、多くの人が正常な判断が出来なくなる上に、金融商品の複雑な仕組みによって、多くの人が混乱して、間違った判断をしてしまいがちです。ですから大きな金額を扱う時ほど慎重に決めなくてはなりません。

もちろん「即決」なんて問題外ですよということです。

住宅=負債

2010年7月27日 火曜日

あなたがコツコツと貯めて守ってきた手持ちの金融資産を現金化したり、両親や親類の方に援助してもらったりしてかき集めたお金を頭金にして、金融機関から住宅ローンという名の借金をして手に入れた建物は、売買契約書にサインをしてハンコを押した瞬間から負債になります。そしてよほどの事が無い限り、ずっと負債です。

負債であっても、長い目でみて収支がプラスになるのであるのなら全然構わない訳です。例えば住宅そのものが新たな価値を生み出して、購入資金や維持管理にかかるお金を上回る金額で売却することが出来るなら全く問題はありません。ですが非常に残念なことに、この国では長年住んだ住宅の価値が上がる事はほとんどありません。住宅を手放すことになっても、購入した金額以上の値段で売れる事はほとんどないといってもいいと思います。

そして現金一括払いで住宅を購入する人を除いて、住宅ローンという借金を抱える以上、家計は基本的に赤字になります。赤字であっても、それを補うことが可能な収入があるならOKですが、リストラの嵐が吹き荒れ、ボーナスカットも当たり前のこのご時世、支払いに不安を抱かない人なんて、そんなにいないと思うのです。

住宅というのは、購入の為に専用のローンがあるくらい特別な商品ですが、そうはいってもモノであることには変わりはありませんから、価値が下がって行くのは当然です。ですが、少なくとも住宅以外のモノで、支払い期間と価値が無くなる期間が、ものすごくかけ離れているものはありません。

例えば普通自動車の減価償却期間は6年ですが、返済期間が6年を超えるような自動車ローンは無いと思います(少なくとも僕は聞いた事はありません)。ローンを設定する金融機関も当然商売でやっているので、損をするような商品を売り出す訳はありません。

では何故、価値が下がることが分かりきっている住宅という商品に対して、金融機関は30年を超えるような長期ローンを設定出来るのかというと、土地と住宅以外の担保を取っているからです。身近に住宅ローンを組んだ人がおられるなら「団体信用生命保険特約料」なんていう名目でお金を払っている事が聞けると思います。

この生命保険は、ローンを組んだ人が死亡した場合などで返済不能になったときの為の保険です。つまり、ローンを組んだ人の命を担保にとっているとも考えられます。裏を返せばそうでもしないと30年を超えるような長期ローンを販売出来る訳は無いというわけですね。

購入した商品(土地建物)のみならず、自分の命まで担保に差し出して、結果的にかなり大きな額の借金しか残らない商品の事を負債と言ってもいいと思うんですが、どうでしょうか?