大きなお金は、それだけで判断を間違わせるという話

建築をやっていると、個人が把握出来る金額には限界があるような気がします。

個人差もありますが、だいたい100万円を超えたあたりから、判断がすこしずつおかしくなっていって、1千万円を超えると手に負えなくなる人が多い気がしています。ふつうに考えると、生活の中で1千万円なんてしょっちゅう扱うお金じゃないですから、ある意味どうしようもない問題だと思いますが、今回はそこいらあたりを気をつけて、ちゃんとお金の事を考えてくださいという話です。

建築にかかるお金は、普通の住宅では3千万円程度、ビルで数億円というところでしょうか。一般的に家に次ぐ高額商品と思われる車が、数百万円程度の金額(超高級車を除く)ですから、建物を購入するという事は、文字通り「桁が違う」お金を動かすことになります。

また会社で億単位のお金を動かしている人でも、いざ自分のお金を億単位で動かす時、会社のお金を動かす時と同じように冷静な決断が出来るかというと、そういう訳でもなかったような気がしています。たぶん自分のお金を動かす時は、それなりの緊張感が存在するという事なんだろうと思われます。

つまり一般的に言えば、個人的に建物を手に入れるという事は、長い人生の中でも「非日常的な金額」を動かすことになる数少ない事態だという事になると思います。ところが「非日常的な金額」というものは、ときどき人の判断を間違わせ、混乱させてしまいます。例えば、こういう問題があります。

「現在、手元にある100万円と、1年後の100万円。どちらが価値がありますか?」

もちろん答えは「現在、手元にある100万円」です。どこかの銀行に預けておけば、いまでも0.03%位の利子がついてきますので、当然1年後には100万円以上になっている事は分かりますよね。では次

「年利15%で100万円を借りて、リボルビング払いで月々1万円づつ返済した場合、完済するのに何年かかりますか?」

これもよくある問題ですが、答えは「一生かかっても完済出来ない」です。この問題のミソは毎月1万円、年間12万円を返済していけば、9年後には100万円+αを返し終わっているにもかかわらず、返済金額と利息の関係をとらえ間違うと、一生返し続けるはめになるということでしょうか。 最後に住宅ローンに関する問題をひとつ

「家を買うのに35年ローンを組んだが、がんばって働いて25年で完済しました。この場合、得をしたと考えられるべきなのでしょうか?」

こういうのもよくある話ですが、短期間でお金を返したことに対するがんばりは認められても、あまり得をしたとはいえないと思います。ちなみに1000万円を年利3%で5年間借りた場合、利息は150万円以上ついてしまいます。10年間借りたなら300万円以上です。返済期間を長く設定するということは、それだけ余分に利息を支払わなくてはならないという事は誰でも知っているはずなんですけど、いろんな事が頭をよぎって、実際の返済能力から考えられる返済期間より長い期間を設定してしまうという話です。

この問題の場合、ローンを組む時に返済計画をしっかり練っていれば、返済期間を35年ではなくて、30年〜25年に出来たかもしれません。そうすれば結構な額のお金を支払いにまわさずにすんだはずです。もちろん途中で借り替えをする事も出来たはずです。利息というのは不動産価値にはいっさい含まれないことをちゃんと理解しておくべきでしょう。

このように扱う金額が大きくなると、多くの人が正常な判断が出来なくなる上に、金融商品の複雑な仕組みによって、多くの人が混乱して、間違った判断をしてしまいがちです。ですから大きな金額を扱う時ほど慎重に決めなくてはなりません。

もちろん「即決」なんて問題外ですよということです。

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