レアアース(希土類)の話題を最近よく耳にします。英語で “rare earth elements” と綴られる通り、非常にレアな元素類の事です。実は金(Gold)などの貴金属の産出量よりは多かったりしますが、分離精製が難しいのでこういう名前になったのですね。
では反対に地球上で最も多い元素は何か? 実は酸素です。次はケイ素。その後アルミニウム、鉄、カルシウム……とおなじみの名前が続きます。ケイ素は半導体の材料でもありますが、ガラスの材料でもあります。
建物の材料として考えると、構造材として、鉄骨や鉄筋が用いられてますし、窓はほとんどがアルミか鉄のフレームにガラスをはめて制作されています。断熱材に用いられるグラスウールも文字通りガラス繊維(glass wool)ですからケイ素で出来ています。建物は、たくさん取れて、価格も手頃で、とりあえず枯渇する事のない材料で出来ている訳です。
建物というのは人間が生きる為のシェルターですから、人間の歴史と同じように長い歴史があります。とはいっても、狩猟採集の時代は獲物を追って移動する日々ですから、恒久的な建物なんて邪魔になるので必要ありません。いまでも遊牧民の住居は持ち運びの出来る組み立て式ですから想像はできると思います。だから人間が定住するようになって初めて地面に固定した建物が必要になってくる訳です。
エジプトやギリシャの石造の建築物は紀元前からありますし、日本でも竪穴式住居は旧石器時代の後期からあったようですので、人類は約一万年前には木を材料としてシェルターを建てていた事になります。いまでも住宅は木造が多いですから、家の材料は根本的にはあまり変わってない事になります。
しかし技術の発達によって近年、新参者が参入してきます。アルミニウムの窓枠、アルミサッシです。
アルミサッシは日本では昭和7年に村野藤吾氏が設計した近三ビルで初めて使われます。昭和7年ですから1932年の事です。昭和27年(1952年)には、今でも主流のアルミ押出成形法で造られたアルミサッシが前川国男氏設計の日本総合銀行で採用されます。昭和30年代からは住宅にも利用され始めて、昭和40年代の中頃には、ほぼ100%採用されるようになりました。
数千年の歴史を誇る材料群と、たかだか100年にも満たないアルミサッシの組み合わせは、けっこう巧く組み合わさった部分が多かったのですが、問題も出てきました。
熱伝導率と気密性です。
木や石に比べるとアルミは熱を通しやすいので、冬場は冷たくなるし、夏場は熱くなりました。加えて気密性が高かったので、建物の中から発生する水蒸気が上手く排気されなくなったのです。冬場に開放型の石油ストーブの上にやかんを置いて生活すると、窓際が結露水で濡れるなんて事は当たり前。最悪の場合、外部から酸素が供給されないので、不完全燃焼で一酸化炭素中毒なんていう問題も出てきました。
建物が高くなると、風も強くなるし、雨も横殴りで降ってきます。窓の気密性を下げると、水が浸入してくる可能性が高い。だから安易に気密性は下げられない。でもあまりに高い気密性で別の問題が起きてしまう。建築基準法でも室の換気量を決めたり、サッシメーカーも換気窓を設けたりしていたのですが、近年は常時換気システムを導入しなくてはならない所まできています。
雨風を防ぐ為に技術開発をしたら、逆に建物に穴をあけることになったという不思議な話が起こっているわけです。







