古いものがそんなに好きなではないのだと思う

前のエントリーでスクラップ&ビルドの話をしていました。それでいつも思うのですが、日本人は新しい物好きで、古いものに固執はしないですよねっていうのが今回の話。

去年の年末に、町家のイベントに参加させていただく機会がありました。参加している皆さん熱心でした。特に、講演を行った先生が、町家保存のためには、まず第一に「哲学」が必要と話されていました。本当にそう思います。昔の家なんて、寒いは隙間だらけだわ、段差があるわで、今の人には快適とは言い難いのが実情でして、そういう問題を超えても住むには、住む方にもエネルギーがいるわけです。

じゃあ、そんなにこだわりなく家が欲しい人はどんな家を手に入れているんだろうと思うと、結構普通の建売住宅とか注文住宅とかマンションとかを買っておられます。住みやすいかは別にして現代の生活には合っているでしょう。町家だって、伝統的な木造住宅だって、それなりに住めるんですけどねぇ……

こういう仕事をしていると思うのですが、日本人は新しいもの好きなんですよ。民族的な特質といっても良いぐらいに。だから古いものはけっこう容赦なく捨てるんです。家だって文化だって。同じように長い歴史を持つイングランドでは家は古いほうが値段は上がるし、幽霊が出るようならさらに値はあがるとも聞きます。

この国は明治になった時に、西洋化して、いろんなモノをバッサリ捨てた経緯があるのですが、それでもなんとかなったのは、江戸時代に教養を育てた人達がいたからだと思うのです。バッサリ棄てても、まだバックアップがあった感じでしょうか。でもいまの社会状況を鑑みると、棄てたら戻ってこない可能性の方が大きいと思います。ジャンジャン捨てて新しいモノに飛びついたけど、再び取り戻そうとしても何も残っていないという状態になるのではないかと思っています。

で、最初の哲学の話に戻りますが、暑い、寒い、不便を乗り越えるためには「でもこれでいい」という信念みたいなものが必要なんでしょう。一生その信念を持ち続けるのはシンドイので、人生のうちのある期間だけでも持つ人が増えてくると、中古の町屋にも借り手がつくってものです。

古いものに手を加えて延命しながらじっくりと暮らすことは、イングランドでは憧れの生活ですが、ここ日本では道楽になってきています。道楽っていうのは金持ちがすることですよ。日本全体が貧しくなっているいま、そんな余裕はないんでしょうが、経済がへたってきているので、中古市場がもう少し流動化してくれれば、そういう人も増えてくるのではないかと期待はしているのですけれどね……

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